謎のコーベル その2

謎のコーベル 前回までのあらすじ
臨終間際の親父(俺)にコロッケパンのお使いを頼まれたタカシは渋々買いに行くも、道中親父の悲報を聞かされる。コロッケパン代の使いみちに困ったタカシはゲーセンでメタルスラッグをプレイすることにし、無事ワンコインクリアを成し遂げる。歓喜に酔ったタカシであったが、エンディングの画面上で謎の「コーベル」の文字を発見し困惑してしまう。その後メールの着信を受け、開くと何と差出人は親父、本文は「コーベル」ただそれだけであったのでした。

「コーベル?何故親父が?」
親父の生死を確かめるべく、お袋に電話をかけようとしたタカシでしたが、 その時ずっとタカシのメタスラプレイを見守っていた観衆の内の一人がダッシュで逃げるように出口に向かうのが見えました。そして虚を突かれたタカシは電話を中断し、何が何だか分からないままにその男を追うことにしたのです。

その男は黒いトレンチコートに鍔広ハットという出で立ちで、手にはコロッケパンを持っているのが見えました。いかにも怪しげな様子のその男を一言で表すと「コーベル」としか言いようがない気がしないでもないと、タカシは思いつつその男を追いかけ店を飛び出しました。

しかしその男の足の速さは尋常ではなく、街の群衆の間を縫うように抜け、あっという間に見えなくなってしまったのです。「音速のコーベル」、そんなどうでもいい言葉がタカシの脳裏に浮かんだといいます。その男を取り逃がしたことをとても悔しがるタカシでしたが、よくよく考えれば単に「コーベル」の意味が分からないという、ただそれだけの事実であり、追う理由もないような気がしてきたので、もうどうでもいいやと思ったタカシでありました。

改めてお袋に電話をかけるも不通。もう何が何だか分からず混乱し憔悴しきってしまったタカシは、近くのネットカフェに入り眠ることにしたのでした。数時間後に起床したタカシは気分も戻り、もう何も考えず帰路に着こうと思いました。

しかし事態はそれで終わりではなかったのです。
道を引き返してゆくと、何とタカシのいたゲームセンター「ウィチカ」が燃えているではありませんか。タカシはゲームセンターウィチカに近づいていったものの、周りは封鎖されており、近づくことさえ出来ない状態でした。

周りには沢山の人だかりができ、火事の様子についてあれやこれやと詮索していました。そして状況の分からないタカシは隣にいた学生とおぼしき2人組の話に耳を傾けたのでした。

その話によると、どうやら筐体の一つが爆発したらしく死傷者がでており、その筐体はメタルスラッグのものであるらしいのです。さらにベタ過ぎることに現場には「コーベル」という文字の書き置きが残されており、警察が直前にプレイしていた男の行方を探しているというではありませんか。

「何してくれんだよコーベル!」 とタカシは思わず叫んだのでありました。

(続くけど、だんだん普通になってきたからもうやめたい)